きょうのNANIKA 003
(KSKQどかどかつうしん No.287より)
生活介護事業所ぽかぽか・どかどかに通う利用者さんの取り組みのなかで、
私たち支援スタッフや、利用者さん同士が「何かすごい」「何か良いなぁ…」と感じた「何か」。
名前をつけたり説明してしまう前に、まず色んな人に見て欲しい、
そして一緒に考えられたら良いなと思います。
S T O R Y
ぽかぽかに通うNさん。言葉を使ったやりとりが難しいため、Nさんの気持ちや思っていることを知るには、表情、身振りを観察したり、関わりの中でNさんのリアクションから考えたり、バイタル面を観察したりして、想像することが中心です。
長年、Nさんがやりがいをもって取り組める作業がないか、工夫したらNさんにも何か作ったりできるんじゃないか、と考えてきました。でも、どれもなかなかうまくいきませんでした。
Nさんは笑ったり怒ったり、大きな声を出したり、たくさん表現をしています。人が何かおっちょこちょいなことをすると、面白がって笑ったり、一人で「ババババ」と声を出して、こちらが「ババババ」と返すと、また「ババババ」と返してきたりします。近くに立っていたら僕のおしりや脇腹を「こしょしょしょしょ」としていたり…多分、ぽかぽかの中にいるよりも外に出る方が好きで、天気が良い日にのんびり散歩をするととても気持ちよさそうに見えます。
ぽかぽかでは「たくさん作業をした人」も「あまり作業をしていない人」も、時間に応じた額の工賃を支払っています。それではたくさん作業をした人に対して不公平じゃないか、という思いもあります。でも、この仕組みを続けているのは、お金になることだけが作業ではないという考えがあるからです。
生きていること、ぽかぽかに来ること、そこで何かしたり人と関わって、笑ったり怒ったりすること。それを立派な作業・活動だと考えていきたい。Nさんを「作業をしていない人」と見て、足りないものをどう付け加えていくかを考えるのではなく、今のNさんの過ごしの豊かさをまず捉えていきたい。
Nさんがぽかぽかを休んだ日に、とても寂しそうになる利用者さんがいます。Nさんができないことから考えるのではなく、Nさんがもっている「何か」をもっとキャッチして、増やしていきたいと今は思っています。